9月4日 晴 飯豊連峰2日目
飯豊連峰1日目はコチラ <ルート> 梅花皮小屋―梅花皮岳(かいらぎだけ)―烏帽子岳―御西小屋―大日岳―御西岳―飯豊山―本山小屋 朝日を拝むために5:00起床。東の空から、徐々に明るくなってきた。下界は雲海だった。この日、この時間、この場所から眺めている景色は私だけが見ている景色だ。なんて贅沢な朝なんだ。 泊まった梅花皮小屋へ至るルートは二つある。私が登ってきた梶川尾根と、もう一つ、石転び沢と呼ばれる雪渓ルートだ。日本三大雪渓の白馬や剣にも、引けを取らない本格的なルートらしい。アイゼン、ピッケルは必須。最大傾斜45度ともいわれている。転倒しようものなら、雪渓は巨大な滑り台と化しどこまでも滑落していくだろう。 小屋には、石転び沢を登ってきた、見るからにベテランのおじさんが一人いた。仙台のおばちゃん二人組が彼にいろいろ質問しているのを、食事しながら聞いていた。「ねぇ、私たちでも下れるかしら」「アイゼンは持ってこなかったわ」「ストックなら持ってるわ」「ストックあれば行けるのね」「じゃあ石転びから下りようかしら」「私たち、雪渓の経験もいくらかあるのよ」 ・・・ああそうですか。それを自分で言っちゃうんですか。雪渓の経験がある人が、装備なしでハイレベルな雪渓に挑むわけですね。上級者のいうことをまともに聞くと、えらい目に遭うことを知らないようですね(体験談)。どうやら上りも石転び沢を選択しようとして、麓のロッジの管理人に止められたらしい。下山後に管理人から聞き、あのBBAたちだと確信した。 結局BBAたちは、御西岳まで往復し、上りと同じ梶川尾根ルートで下山することにしていた。最終的には賢明な判断に至って良かったと思う。突っ込みどころ満載な二人組みに冷や冷やした。 6:30出発。私が起床した頃に早々と出発する人の姿もあったが、私次の目的地は本山小屋なので、急ぐこともない。 泊まった小屋と、矢印型の雪渓。 梅花皮岳、烏帽子岳を経て御西小屋を目指す。軽快な稜線歩きを期待していたが、結構アップダウンがあり、歩行距離が長かった。なぜかザックが昨日よりも非常に重く感じた。ザックを買うときに、店員に後ろからぐっと荷重をかけてもらうが、まさにあの感じ。誰かが乗ってるか、ぶら下がっているかしているんじゃないかと、始終感じていた。私には誰も見えないが。 重いザックと、前日の抜けきらない疲労とで、歩き出して間もなく疲労感があった。御西岳が見えるのに、なかなか目的地は近づいてこない。 北斜面には、まだ夏の花が咲いていた。登山道にはイチゴが生えていた。食べてみた。小さすぎてわずかに酸味があり、砂っぽく口の中がシャリシャリいうことしか分からなかった。 10:00には御西小屋に到着。 私は、飯豊連峰の最高峰、大日岳(だいにちだけ)に登るべきか迷っていた。時間は余裕だが、体力的に厳しくなりそうな予感がしていたのだ。御西小屋の主人は「本山小屋に早く着きすぎるぞ。石でも蹴って遊んで時間潰すのか?」と笑う。もう、この一言で「大日岳に行く」以外の選択肢は消えた・・・。 荷物を置いて、杖1本と水1Lを抱えて大日岳に向かう。荷が軽いとなんて楽なんだ。足取りが軽い。アップダウンはさほどきつくないが、距離があった。大日岳までのピストンで、予定では往復3時間。その間に寝袋を干させてもらった。フカフカになって、幸せだった。 季節外れのチングルマの群生。 頂上に到着。大日感を表現してみた(笑) 昨日登った北股岳。ガスがかかってて、頂上は拝めず。大日岳頂上にもガスがかかり、360度は見渡せなかった。だが、喜多方市、新潟市まで見渡せ、素晴らしい眺望だった。 大日岳ピストンのため、私は行動食をビスケット2枚しか持っていかなかった。昼食前で空腹を感じていたが、往復程度ならビスケットだけあれば持つだろうと考えていた。しかし考えは甘く、胃が食物を欲して鳴くし、歩行速度は落ちるし、ハンガーノック手前だった。水とそれで、なんとか繋いだが、ザックを小屋に置いてきたことを若干後悔した。アタック用の小さい折りたたみできるザックが欲しいと思った。 小屋に戻ってから、水に浸けておいた、昨日の昼同様のパスタを茹でる。水に浸けると茹で時間が短縮され、ガスの節約にもなるし、麺が柔らかくなるためコッヘルにもすんなり入る。 この時点で、私の体力バロメーターは30近くまで減っており、食事を摂れば60までは回復すると思った。 パスタが完成し、私は気づいた。 これは・・・・量が絶対的に足りない・・・!! ・・・・・食後、満腹感が得られなかった。 これはまずい。HP40までしか回復していない。っていうか、全然足りない・・・。 この日のノルマは半分以上来てるし、あとは気合で行ってやろう。午後の部の歩行を開始した。 なだらかな登り。大した登りではないが、途中の1ピークがきつい。5分に1度立ち止まらないと歩けない状態。体力が結構ギリギリ。ラスボス手前のピークまで来た。 そして飯豊山中腹で、体力が尽きた。 最後のひと踏ん張り。ウイダー飲んで、リミッター解除。もはや体力は限界に達したので、気力だけで乗り切る。 飯豊山山頂に着き、完全に力尽きた。一応笑って写真を撮ってみたが、目が死んでいた。目に光がないのは、自覚してたが・・・(笑)図解↓ 全身全霊すぎて、頂上で座り込んでしまった。体力、気力を使い果たし、立ち上がることも困難。体力、気力ともに0だった。放心状態で、しばらく過ごす。汗が冷えてきたので上着を羽織る。体力も、精神力も、尽きるとまったく動けなくなることを学んだ。20~30分休み、やっと立ち上がった。ゆっくり小屋へ向かった。 荷物を置いて、小屋の中でひっくり返った。気づいたら、1時間昼寝していたらしい。体力は幾らか回復し、水場まで、片道0.4km下る。水場が遠かった・・・。 ご飯を炊いて食べ、ソッコーで寝た。 日中はヘリがバタバタ飛んでいたが、下界の音は一切聞こえない。静かな夜が静かに近づいてくる。新潟の夜景が見えた。 じじばばの団体客の話し声も気にならず、爆睡だった。 行程9時間(休憩含)
by chidorigo
| 2014-09-13 06:00
| 百名山挑戦
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自己紹介
真面目に働く社会人のふりして働いている27歳。 旅人希望だが、人生一度は結婚してみたいので、当面の目標はボタン鍋食べることと、結婚することにしておく。 (後者のハードル高め) 2014.7-2015.7 カブ110で 日本一周 2015夏 南ア山小屋でバイト 2015晩秋 東海道3週間かけ踏破 コメントの返信は随時(気が向いたら)行っておりますので、気長にお待ちください。 ブログランキング参加中です。他の旅人ブログが見れます。ついでに私のランキングも上がってやる気出ます。 ↑クリックありがとうございます(´▽`)ノ 何かあればお気軽に 「chidrigo55@以下じーめーる」までどうぞ。 カテゴリ
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