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山小屋にいます


夏休み仕様になってます
さいちーです
こんにちは

昨年同様、山小屋にいます!
1週間ですけどね~
ちょろっとお手伝いしてます。

台風の影響があって、今日は空いてます。

体力のある方は登山届けをしっかり出して(気が向いたら)遊びにきてくださいな( ´∀`)

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# by chidorigo | 2016-08-16 18:05 | 山小屋2015夏

グンマー国境、毛無峠

ここはグンマー国境である。

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ちどり号とプチツー。毛無峠にやってきた。奥に見えるは浅間山。


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ここにはかつて、小串鉱山と呼ばれる硫黄鉱山があった。今や錆びた鉄塔が時の流れに身を任せるのみで、かつての繁栄の面影はない。

愛好家たちが飛ばすラジコングライダーのモーター音と、時々やってくるライダーたちのエンジン音が、このグンマー国境に訪れる人の存在を示していた。

毛無峠から、すぐのところに破風岳がある。山頂まで片道20分ほどと、お手軽登山ができる。
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北軽井沢と名乗れば、軽井沢ブランドとしての土地が売れると思っているグンマー。ほぼキャベツ畑の嬬恋村と隣り合わせ。国境も、県境も、ただ見ただけでは線が引かれてる訳ではないから見分けがつかない。
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線を引くことで責任の所在を明らかにできるが、あらゆる物事において線を引きたがる風潮は好かない。

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もっとゆるくていい。
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あ、鹿島槍だ
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最高。
私の「最高」の基準は普通の人より低いかもしれない。その分、私は普通の人より 満足度が高いと思っている。
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ギンリョウソウ、こんにちは。
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歩きやすい。すれ違った男性に「女性で履いてるのは珍しいね」と言われた。意外と足元を見られているようだ。「歩きやすいですよ」おすすめしておいた。
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破風岳を下り、グンマー国境を後にする。

国道最高地点にふらっと立ち寄り、次の山へ。
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駐車場から20分で山頂。300名山、笠ヶ岳(かさだけ)
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横手山が見える。大岩の日陰で一休みしてから下った。
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梅雨が明けた。
今年も短い夏が始まった。


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# by chidorigo | 2016-07-31 10:10 | ちょっとそこまで

青空復活大逆転!種池山荘ピザ日和【針ノ木爺ヶ岳周回縦走-3】

早口言葉みたいなタイトルです。

さいちーです
こんにちは

更新にかなりの時間を費やした針ノ木爺ヶ岳縦走ですが、お待たせしました最終回。


↓前編はこちらからどうぞ↓

1;「海の日は山へ、虹の扇沢」

2;「土砂降りの針ノ木雪渓」


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<ルート>
扇沢-針ノ木雪渓-針ノ木峠-針ノ岳-スバリ岳-赤沢岳-鳴沢岳-新越山荘(宿)-岩小屋沢岳-種池山荘-爺ヶ岳-種池山荘-柏原新道-扇沢


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朝の4時頃には廊下を行き来する宿泊者の足音で目が覚めた。とはいえ、泊まっていたのが17人だからさほど気にはならなかった。

山で朝を迎えるなら、御来光が最大のイベントだと私は考えている。結露した窓の向こうで、夜明け前の群青が朝を待っていた。ダウンを羽織り、外へ出る。

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昨日の厚い雲は、きれいさっぱりどこかへ消えていた。扇沢ターミナルの灯りが遥か下で小さく光っていた。あんな下から上ってきたのか。

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雲は桃色に染まり、空の世界に色を運ぶ朝日を待つ。やはり、山で迎える朝は格別だ。

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針ノ木峠からは、ひょっこり槍ヶ岳が覗いていた。やあ、おはよう。
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後立山連峰の朝焼けシルエットが美しい。
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刻々と静かに表情を変えていく山々。地図には載っていない新越岳(通称:偽ピーク)で日の出の瞬間を見ることはできないが、モルゲンロートに包まれた蓮華岳や針ノ木岳が、今日の訪れを教えてくれた。

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朝日を浴びた剣岳の圧倒的存在感。ラスボス感を醸し出すあの頂きに、もし神々が住んでいると言われたら、信じるかもしれない。

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朝焼け鑑賞会を終えて部屋に戻り、朝食まで一眠り。空腹すぎて、水気が抜けたナスやキュウリの如く縮みそうだった。朝食はご飯をお代わりし、本日のエネルギーを充填したのだった。同部屋のソロ女性客と仲良くなり、気が向いたら北岳で会おうと緩~い約束を交わす。

休暇のぽんちゃんが、爺ヶ岳までの道中をお供してくれることになった。遭対協のH氏は『救助で役立つロープワーク講座』を開き、小屋のスタッフに伝授していた。お先に。彼とはきっと今日もどこかで会うに違いない。


稜線歩きは最高だった。天候視界ともに良好で風も弱い。ここまでの好条件は、年間の山行を通しても、そうそう出会えない。

これから歩く爺ヶ岳までの稜線。
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これまで歩いてきた稜線。振り返れば大パノラマ。
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左後方には立山連邦、右には大町市街を覆う雲海、浅間山、そして八ヶ岳、富士さん。富士さんの右には南アの山塊。ロケーションも良い。昨日の悪路バッドな山行とは180度の回復振りに、テンションが上がる。

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ハクサンフウロ
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チングルマ
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なんだっけ。よく見るけど毎年思い出せない。
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アオノツガザクラ

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種池山荘手前で、「ようこそ!」とキヌガサソウが満開で出迎えてくれた。

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ぽんちゃんと近況報告をしながら歩いていたら、あっという間に種池山荘へ着いてしまった。

山荘にザックを置き、爺ヶ岳山頂までピストンする。
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ああ、美しすぎてため息が出る。いくらでも眺めていられる。山荘があんなにちっちゃい。

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山荘に戻って来る頃には、雨で濡れたザックは照り付ける太陽のおかげで、概ね乾いていた。


種池山荘名物のピザをいただく。ピザ焼き専用の丸いオーブンが2台あり、次々に入る注文を受けテンポ良く焼き上げていた。あのオーブン欲しいとちょっと思ったり。
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直径18cmくらいのピザで、基本は6枚切り。希望すれば8枚切り等、柔軟に対応してくれる。山の上でチーズなんて贅沢だ。ボリュームがあって大満足。 ぽんちゃん、ごちそうさま。
ちなみに種池には専属の調理師がいて、まかないが美味いらしい。
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中の席でピザに舌鼓を打っていたら、H氏が外の注文口に現れた。ピザをぺろっと平らげて、下山していった。

まだ11時くらいなのに、周囲にはガスが上ってきた。朝の快晴っぷりはどこへやら、もう真っ白になった。

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ぽんちゃんにお礼を言い、互いの健闘を祈って別れた。彼女は笑顔で見送ってくれた。山生活が終わって下山したら、またうちに遊びにおいで~(^_^)/


柏原新道をたったか下る。30分ほどでH氏に追いついてしまった。

「また変なオジサンと一緒になっちゃったね。いいんだよ、先に行って。嫌なら嫌ってはっきり行った方がいいよ」

人が嫌がることをするのが好きだったらしく「性格悪い...」と言ったら、「昔は今は違うよ」といいながらも、私と同じ速さに上げていた。2日間のうち半分はなぜか一緒に行動していたので、だんだんお互いの性格が分かってきて面白かった。

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歩き方レクチャーや、ザックの背負う位置レクチャー等を歩きながら教わる。あとはだらだら身の上話と世間話をしてるうちに、扇沢がみるみる近づく。扇沢は満車御礼だ。
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ついさっきまでいた稜線や、山頂は雲の中だった。 コースタイム2時間45分のところを1時間45分で下った。あっという間に登山口に着いてしまった。 山へ一礼し、駐車場まで歩いて戻る。H氏と停めた駐車場が違ったため、彼とも途中で別れた。H氏とは、またどこの山でひょっこり会う気がしてならない(笑)

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近くの共同温泉に入り、大好きなCCレモンで一服し、生き返る。そして帰路に着いた。

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次は予定は山の日の縦走。鹿島槍から唐松を計画しているけど、3日間あるからどうしようか検討中。



<反省会>
・雨の日のザックは内部まで濡れるから、防水対策が必須。
・雨でザック内の行動食が出せずに困った。おやつボトルを作ろうかと思う。
・両下肢筋肉痛、両腰部擦過傷、両母趾付け根に水疱できた。
・オニューになったゴローのソールは、雨に濡れた岩の上でも滑りにくかった。
・扇沢の駐車場は市営無料Pから埋まるし、朝6時で満車。早起きしてもこれからの時期は停めるのが難しそう。
・コンタクトは洗浄液持ってくのが重い。使い捨てにしよう。
・雨で喉が乾かないからといって、水飲まないと脱水になる。
・雨の場合を想定して、着替え1着は必要。下着までびしょ濡れ。何を血迷ったか、ユニクロのエアリズムを着て行ったら全然乾かないどころか、休憩時に体温奪われて寒かった。
・地図も濡れてしまった。ジップロックに入れる



3部作にお付き合いいただきありがとうございました!


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# by chidorigo | 2016-07-27 12:45 | 百名山挑戦

土砂降りの針ノ木雪渓【針ノ木爺ヶ岳周回縦走1泊2日-2】

1泊2日の記事ですが、長いので書くのに息継ぎが必要です。3部構成です。約3400字の第2部は長編です。どうぞお付き合いください。


1;「海の日は山へ、虹の扇沢」こちらから



<ルート>
扇沢-針ノ木雪渓-針ノ木峠-針ノ岳-スバリ岳-赤沢岳-鳴沢岳-新越山荘(宿泊)-岩小屋沢岳-種池山荘-爺ヶ岳-種池山荘-柏原新道-扇沢


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ここから、北アルプス三大雪渓のひとつ、針ノ木雪渓に挑む。日本三大雪渓と紹介されてる場合もある。

雪渓下部には丸太橋が架けられていた。雪解け水が成す川の勢いは強く、端は半分水に浸かっていた。雨だから余計に水量が多かったのかもしれない。

周囲の登山客を見ると、誰もアイゼンを着けていなかった。雪渓の斜面も比較的緩やかで、私もアイゼンなしで上り始めた。

雪渓上には赤色のラインが引いてあり、ルートを示していた。雪渓とはいうが、雪というよりガリガリの氷だ。凹凸のあるアイスバーンの上を上っていく。赤インクはだんだんイチゴシロップに見えてきて、巨大なかき氷の上を歩いている気がしてきた。遠めに見れば私は蟻より小さな点のはずだ。蟻気分で標高を上げて行く。

上り始めは緩やかだった斜面も、徐々に角度を上げてきた。雪渓の割れ目が大きな口を開け、恨めしそうにこっちを見ている。頼むからこっちを見ないでくれ。

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足の下では雪渓中の水が集まり、下流を目指していた。足を滑らせたら止まる手段がない。雪渓の口に落っこちたら、海の藻屑ならぬ山のもずくとなりかねない。真冬の滝つぼに落っこちた身からすると、それだけは避けたい。 雪渓の両サイドにも近づきすぎないよう注意する。

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傾斜が少し緩んだ場所で軽アイゼンを装着。氷を掴む足裏の感触が生まれる。安心感が全然違った。

雪渓を下ってきたソロの女性も軽アイゼンを履いていた。すれ違う際、「慎重に下りればツボ足で大丈夫って聞いた」と話していた。新雪じゃないんだから「ツボ足は無理だよね」との結論に至った。


上部に行けば行くほど傾斜がきつくなった。足を滑らせたら転倒し、もれなく恐怖の滑り台を上から下まで一気に滑り落ちるこになる。雪渓の口に飲まれるか、岩にぶつかり骨が砕けるかのどちらかだ。多発性外傷か脳挫傷では死にたくない。

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所々、地図上の県境みたいな亀裂が入っていた。新しそうな亀裂だ。 どうか、私のときを見計らって足元が崩れ落ちませんように。

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雨は土砂降りで、雪渓に雨粒が当たって染み込む音が谷にこだまし、大きく響いているように感じた。頼むから、あまり大きな音を立てないでくれよ。

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私の願いも届かず、雨は一層激しさを増す。自分の足音さえも、雪渓の亀裂を大きくしてしまうのではないか。疑心暗鬼に陥りそうだった。

そんな私の唯一の支えが、コイノボリだった。霧の中を泳ぎ、道筋を示してくれた。おかげで恐怖心が和らいだ。

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谷を囲んでいた岩壁が開けて、少しだけ明るくなった。雪渓上部に着いたのだ。50分程の雪渓歩きもここで終わりとなる。アイゼンを外し、夏道に出る。コイノボリは雪渓案内の役割を終え、尾を振って見送ってくれた。

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夏道、その先は急登だった。雨宿りや休憩をできる場所がなく、歩き通しで疲労が貯まってきていた。晴れていればコルに小屋が見えてくるはずだが、ガスっていてどこまで歩くのか見当がつかない。

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エネルギー切れで、数歩歩いては立ち止まってを繰り返す始末。とりあえず行動食を口に入れて気力で進む。


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やっとのことで針ノ木峠にたどり着く。小屋に入り、土間のテーブルで雨宿りをさせてもらう。レインウエアを着ていても、下着まで濡れてしまって寒い。右隣のオッサンが旨そうに小屋のランチメニューのラーメンを啜っているのを横目に、持ってきたおにぎりとプラムを食べる。温かそうなラーメンを見てたら、なんとなく温まってきた気がしないでもない。・・・私は疲れているようだ。

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ラーメンを平らげたオッサンは、この山域をよく訪れるそうだ。ケータイを取り出し、どこかへ電話をかけ始めた。小屋の予約をしているようだった。


「あいにく、お姉さんと泊まる小屋が一緒ですよ」


私はお先に、と針ノ木小屋を出た。雨も風も強く、視界は10~20m程度。10分もせずに先ほどのオッサンに追い付かれる。道を譲るが、ペースが同じようで一緒に上って行くこととなった。


彼はH氏といった。左腕には三歩がデザインされた遭対協のワッペンを付けていた。今日はオフだけど、コースの下見に来ているから半分仕事みたいなもんだと言っていた。H氏の本職は登山ガイドで、脱サラしてこの道に進んだという。

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自分家の屋根を自分で塗り直したり、手ぬぐいの端を三つ折りにしてミシン掛けするなど、かなり器用で几帳面な性格なようだ。御嶽の噴火の日に、ガイドをしていた話を聞いた時には、雨に濡れて冷えきった手に汗握ったものだ。

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稜線では富山側から風が吹き付け、雨が真横から顔に当たって痛かった。ガスガスで現在地すら分からない。風を避ける場所も、休む場所もなく、ただひたすら白い世界を歩き続けた。

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H氏は「あとこれを上り切れば頂上(ピーク)だ」「この先1時間半くらい歩けば次のピーク」「晴れていれば左に黒部湖、右に雪渓が見える」等、適宜目標や位置関係を伝えてくれ、白い世界の外の情景を想像できた。 おそらく一人で歩いていたら、足元のガレ場に集中し、延々と続く視界不良の稜線に苦しめられていたことだろう。

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いつしか雨は止んでいた。東の風が雲を動かし、一時の明るさを運ぶ。

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ハイマツとシャクナゲが斜面を覆っていた。針ノ木稜線縦走路は、シャクナゲロードだった。

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「しっ。ほら、会いたがってたライチョウがいるよ。お先にどうぞ」

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赤沢岳の手前で、H氏が立ち止まった。見ると、メスのライチョウと雛が3匹歩いていた。ハイマツの茂みへ入っていく彼らを見送った。

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ライチョウに会うと、不思議と足取りが軽くなる。

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その時、ガスが途切れて左側の展望が開けた。エメラルドグリーンの水(H氏曰く、水が腐ってる)を湛える黒部湖が姿を現した。一艘の白い船が、日の光を浴びて輝いているのが見えた。私の折れそうだったココロにも光が差し込んだ気がする。白い世界から、今日初めて見る下の世界に、立ち止まって暫し見入った。

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赤沢岳と鳴沢岳の間、遥か下の山中を針ノ木隧道が貫く。何か聞こえたり感じたりしないかと、少し期待していたのだが、何も聞こえないし感じなかった。

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名所、一反もめん岩

「反対側からだと岩が黒くて一反もめんに見えないんだよ」

ガイドのH氏は教えてくれる。

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厚かった雨雲は手持ちの雨粒を全て落し終えたらしく、徐々に雲が薄れていった。鳴沢岳から40-50分下れば本日の目的地、新越山荘だ。山荘に着く頃には大町市街地が見えていた。

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新越山荘では、ぽんちゃんが出迎えてくれた。 彼女はリトルカブで旅する女子で、日本一周を一時中断し、山で旅資金を稼いでいる最中。彼女との出会いはブログだが、もはや旅仲間を通り越して友人である。私の家にも2度泊まりにきてくれた。


彼女のブログはこちら⇒ちいさなカブ~リトルカブで日本一周の旅~
私もちょっぴり登場したりします(^_^)/



そんな彼女にお土産を渡す。ザックの大半を占めていた気圧で膨張した下界のお菓子がなくなり、ザックが一回り小さくなった。


“ザ・山小屋“の環境で、ぽんちゃんは働いていた。私が昨夏働いていた小屋よりも、食材や水、風呂の制約がある。頑張ってるな~。海の日にも関わらず宿泊は17名と、とても落ち着いている小屋だったので静かに過ごせた。

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8時間半歩いて、水はたった350mlしか飲んでいなかった。通りで一度もトイレに行きたくならない訳だ。

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夜は従業員に混ぜてもらい、H氏が持ってきた白馬の酒、大雪渓をちゃっかりいただいた。雪渓上ってきて、大雪渓飲んだら、もう寝るしかないじゃないか!というわけでおやすみなさい。

従業員は明るく、雰囲気のいい小屋だった。


私が案内された女性部屋には、私の他にもう1人しかいなくて、ゆっくり休めた。

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1日目歩行 8時間30分

~続く~



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# by chidorigo | 2016-07-22 06:43 | 百名山挑戦

海の日は山へ、虹の扇沢【針ノ木爺ヶ岳周回縦走1泊2日-1】

まだ梅雨も明けず、どんよりした天気が続いていた。それでも連休となれば、山に呼ばれている気がしてくるものだ。1泊2日で、針ノ木岳から爺ヶ岳を縦走してきた。

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<ルート>
扇沢-針ノ木雪渓-針ノ木峠-針ノ岳-スバリ岳-赤沢岳-鳴沢岳-新越山荘(宿泊)-岩小屋沢岳-種池山荘-爺ヶ岳-種池山荘-柏原新道-扇沢



日が昇る頃に家を出発。扇沢の市営無料駐車場には予定通り6時に到着した。既に多くの車が停まっており、私が入った10分後には警備員によって「満車」の看板が出されていた。

出発支度を始めると、霧雨が降り始めた。車内でレインウエアを来て、ザックカバーをかける。きっと雨の山行になるだろう。天気予報も雨たから、ずぶ濡れの覚悟はできている。

濡れたら困る着替えやダウン、モバイルバッテリー等は全て防水バッグに入れた。ちょうど一年前の海の日、山小屋バイトの入山も雨でタブレットが水没した苦い過去の教訓を生かす。

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扇沢のターミナルには、黒部ダムへ向かう観光客が、チケット売り場に既に長い列を作っていた。雨支度を整えて歩く私に、観光客の好奇の視線が集まったが、私からすれば雨具も防寒具も持たずに山に入ろうとしている観光客の気が知れなかった。

扇沢にとっては登山客も観光客も関係なく、虹を架けて人々の入山を歓迎していた。寛容だ。

ターミナルの左端には、小さなテントが建っていた。おばちゃんが一人いて、登山届を回収している。登山届を書いてこなかった人には、その場で書かせていた。おばちゃんは山の門番だ。レポート用紙に書いた持参の登山届を、門番に渡す。

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「今流行りの山ガール?」
サングラスの門番は私の装備を上から下までチェックする。

「ガールって歳でもないですし、山ガールの響きが好きじゃないです」
はい、と素直に言えばいいのに捻くれている。

「じゃあ何がいいの?」

ヤマオンナで!」

「あはは!山オンナなんて泥臭い!いいじゃないの!気を付けて、行ってらっしゃい!ヤマオンナ!」

「あはは!行ってきます!」門番に快く送り出された。

この先、このやりとりを思い出しては1時間笑っていられた。


黒部ダムへ向かう、トロリーバス用の九十九折りの道をショートカットする登山道は、トンネル手前で左に逸れた。


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おいしそうなキノコが一株、登山道の足元に生えていた。

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ブナ林とチシマザサの豊かな森の中を進んでいく。雨は強くなったり弱くなったりを繰り返す。葉に当たる雨音に包まれる梅雨の森。ブナはやがて白樺に変わる。最初のチェックポイント大沢小屋を通過すると、程なくして雪渓の始まりが見えてきた。


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~続く~


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# by chidorigo | 2016-07-20 12:43 | 百名山挑戦